福岡の畜産現場では、人手不足によるシフトのやりくりが続き、早朝・夜間の負荷や安全に対するリスクが増加してきています。そこで注目されているのが「福岡 畜産 外国人労働者」×技能実習です。制度を正しく活用すれば、現場の労働力不足の解消と安全性の担保を両立することが可能です。
まずは、みなさまからよく伺う悩みについて整理していきますと…
- 技能実習で任せてよい作業と任せてはいけない作業がすぐにわからない。
- 夜勤や早朝のシフトが在留資格や実習計画と整合するか不安。
- 多言語SOP(業務や作業の手順を複数の言語で記述した指示書)・1〜7日のOJT台本・KYT(キケン・ヨチ・トレーニング)を今すぐ使える形でそろえたい。
- 最低賃金・36協定・寮費控除など、法令に沿った運用に自信がもてない。
いくつ当てはまったでしょうか?
本記事では、現場目線で前述した悩みについてお答えしていきます。
まずは、『福岡の畜産業で進む人手不足と外国人労働者受け入れの現状』について解説していきます。次に、外国人材を活用する際のOJTの注意点、また危険作業や安全対策、防疫等についての対策を具体例で示していきます。その後、在留資格や労務の手続き、及び費用と採用までの期間の目安、補助制度の視点をワンストップで説明していきます。
また、 監理団体の選び方も重要です。私どもアジアアグリ協同組合が提供する通訳常駐・土日祝日対応・九州での豊富な実績について紹介します。
記事の最後には、導入事例と定着率を上げる運用ポイントもまとめてあります。
※本記事は畜産事業者(酪農・養豚・養鶏など)向けの内容です。 求人募集や消費者向け情報ではなく、外国人材の受け入れを検討する経営者・現場責任者向けに解説しています。
福岡の畜産業における外国人労働者受け入れガイド~現場目線の安全対策と成功のポイント~
福岡の畜産業で進む人手不足と外国人労働者受け入れの現状と課題
人手不足の深刻化と畜産業への影響: 福岡県の畜産現場では高齢化や若手不足により慢性的な人手不足が深刻です。このため外国人労働者の受け入れが有力な労働力確保策として注目されています。
外国人労働者受け入れ制度の基礎知識(技能実習制度と特定技能制度)
技能実習制度とは
発展途上国等の人材が畜産分野で最長5年間、実習生として働き技能を習得する制度です。技能実習では受け入れ企業と実習生の間に監理団体が入り、計画に沿ってOJTを進めます。
例えば畜産農業職種では搾乳や飼育管理など一定の作業に従事可能で、その範囲は事前に申請した実習計画で定められており、期間中は監理団体が月次訪問するなど手厚いサポートを行います。
※実習として技術を習得することが大前提であり、労働力として就労、人材不足を補う制度ではございません。
特定技能制度とは
人手不足分野で即戦力として働ける外国人を受け入れる制度です。農業(畜産含む)分野では特定技能1号として技能試験や日本語試験に合格した人材を最長5年間雇用できます(技能実習修了者は試験免除で移行可)。
技能実習より労働時間や業務範囲の制約が緩やかで、夜勤も条件下で可能です。受け入れ企業が直接雇用契約を結ぶため監理団体は不要ですが、代わりに登録支援機関による生活サポートを受ける必要があります。
両制度の違いと選択ポイント
技能実習は人材育成が目的で、監理団体の管理のもと段階的に技能を習得させます。計画外の作業や深夜勤務に厳しい制限がある点も特徴です。
一方、特定技能は即戦力の確保が目的で、労働時間や業務範囲の制約が比較的緩やかです。
福岡で受け入れる際は、長期育成が目的なら技能実習、即戦力が欲しいなら特定技能と、自社ニーズに応じて選びましょう。
福岡県における畜産分野の外国人労働者受け入れ動向(統計・市場概況)
受け入れ人数の統計(福岡の畜産)
福岡県でも農業分野の外国人技能実習生・特定技能者の受け入れは年々増えています。全国では令和5年末時点で農業分野に約5.4万人の外国人労働者が従事し、九州はその約2割を占めます。
引用:出入国在留管理庁・農林水産省「農業分野における外国人材の受入れ状況」(令和5年12月末現在)
畜産が盛んな熊本・鹿児島などに続き、福岡の畜産現場でも外国人スタッフが数百名規模で活躍しており、今後も受け入れ枠拡大や特定技能移行によりさらに増加が見込まれます。
現場での安全対策と働きやすい環境づくり(現場目線の取り組み)
多言語マニュアルとOJTによるスムーズな技術習得
標準作業手順書(SOP)の多言語化
例えば搾乳・給餌・清掃・消毒など日々の作業手順は、写真や図解付きで多言語マニュアルにまとめておきましょう。日本語が十分でなくても視覚的に理解できるSOPが効果的です。現場独自のルールも文章と図で明示し、誰でも参照できるようにします。
OJT計画と初期研修
配属後1か月程度は集中的なOJT期間と位置付け計画的に研修を行います。ベテラン社員がマンツーマンで指導し、習熟度チェックリストに沿って段階的に業務を教えます。
初日から日ごとに課題を設定し、必要に応じて通訳を付けてフォローします。(通訳が必要な場合は事前に監理団体または支援機関に相談してください)定期的に習熟度を確認し、無理なく独り立ちできるよう進めましょう。
安全管理と衛生教育の徹底: 災害・事故を防ぐポイント
危険物・重機の取り扱いにおける安全対策
作業環境を安全に整えることが最優先です。牛舎・豚舎では滑りやすい床への対策や、牛・豚による事故防止策を徹底します。重機(トラクター・フォークリフト等)は技能実習生が扱える範囲が限られるため、資格保有者に限定して運転させるなどルールを周知しましょう。
危険作業のKYT(危険予知トレーニング)
糞尿の汲み取り作業や消毒薬の散布など、事故リスクの高い作業の前には必ずKYTミーティングを行い、作業手順の確認とヒヤリハット事例の共有を徹底します。
さらに、万一事故や怪我が起きた際の緊急連絡フローを全スタッフに周知しておきましょう。電話連絡先は日本語と実習生の母国語で書いて配布し、誰でも迅速に通報・応急対応できるよう準備します。
衛生管理(消毒・防疫)と動物福祉への配慮
衛生管理教育: 家畜伝染病の予防や食品安全のため、消毒や防疫の手順は実演で教えます。防護具(マスク・手袋・長靴等)の正しい着脱方法も実際にやって見せて習得してもらいましょう。
シフト体制と労働環境の整備: 夜勤・早朝作業への対応
24時間体制のシフト計画
畜産現場では早朝・深夜の作業が発生するため、在留資格ごとの制限に注意したシフト計画が必要です。
技能実習生は深夜業が制限される場合があり、特定技能者でも時間外労働には36協定の届出が必要です。欠員に備えて複数人でシフトを組み、繁忙期は増員できる体制を用意しておきましょう。
労働環境の改善
作業場の照明や温度管理を改善し、休憩所にWi-Fiや母国語の情報を用意するなど、外国人が働きやすい環境を整えましょう。
指差し会話帳や翻訳アプリを活用し、笑顔で根気よく意思疎通を図る姿勢も大切です。
法令遵守と受け入れ手続き(福岡での雇用に必要な準備)
在留資格の取得と行政手続きの流れ
海外での人材募集・面接から入国・配属まで通常6か月程度かかるため、受け入れ予定時期から逆算して準備を始めましょう。
技能実習生受け入れの書類準備
技能実習では実習計画書や企業情報、雇用契約書など提出書類が多岐にわたります。不備があると申請が遅れるため、チェックリストで必要書類を管理しましょう。
技能実習計画書には作業内容や時間帯を詳細に記載します。計画書に無い作業や深夜勤務はさせられないので注意が必要です。
労働法規の遵守:労働時間・夜勤と36協定
時間外労働をさせる場合は36協定を締結し労基署へ届出が必要です。残業が多くなりがちな畜産現場では、協定範囲内で無理のないシフトを組みましょう。
雇用契約と待遇条件のチェック(最低賃金・寮費控除など)
福岡県の最低賃金遵守
福岡県の最低賃金は2024年10月に時給992円に改定されました。
引用:福岡労働局「福岡県の最低賃金(地域別最低賃金)」(令和6年改定)
外国人労働者にも最低賃金以上の給与を保証し、残業・深夜手当も適正に支給します。給与明細は本人が理解できる言語で交付し、控除項目も明示しましょう。昇給制度の整備など、公平な待遇が定着率向上につながります。
給与控除と寮費の取り扱い
寮の家賃や光熱費を給与から控除する際は、実費相当額のみとし、高額な控除は行わないようにします。寮の設備も基準を満たすよう整え、一人当たりのプライベート空間を確保しましょう。快適な住環境は働く意欲や定着率にも影響します。
社会保険・労災等の加入
技能実習生は雇用期間が2か月を超える場合、社会保険加入が義務です。特定技能も当然加入対象となります。特に労災保険は全員加入必須で、就業中の怪我や疾病も保障されます。雇用契約書には保険加入状況を明記し、本人にも説明してください。
信頼できる監理団体の選び方
監理団体とは?
技能実習で外国人を受け入れる際、監理団体(協同組合など)が入国手続きから実習中のサポートまで橋渡し役を担います。
実習成功には信頼できる監理団体の選定が欠かせません。※別途監理費用が発生します。
監理団体選びのチェックポイント
監理団体を選ぶ際は、過去の監査違反の有無、農業・畜産分野での受け入れ実績、対応言語、緊急時のフォロー体制、費用の透明性などを確認しましょう。
アジアアグリ協同組合の強み
九州全域で累計1,000名以上(契約企業160社以上)の実習生受け入れ実績を持つ優良監理団体が私どもアジアアグリ協同組合です。
東南アジア各国に独自のネットワークを持ち、現地選考から入国後まで一貫対応が可能です。4か国語の通訳スタッフが常駐し24時間サポートできる体制、専門スタッフの定期巡回指導など現場密着のフォローで定着率向上に寄与しています。初めての受け入れでも安心して相談していただけます。
定着率を上げるメンタリングとサポート
受け入れ後のフォロー体制が定着率を左右します。有効なのがメンター制度で、実習生1人につき先輩社員1人が相談役となり、仕事や生活の悩みを聞いてサポートします。月1回の面談で困りごとを把握し、早期に対処しましょう。
また、文化・宗教の違いへの配慮も大切です(例:ムスリムには養豚場で豚舎作業を任せない、ハラール対応の食事を用意する等)。
地域の交流イベントに参加させ、孤立を防ぐ工夫も有効です。監理団体とも連携し、問題発生時は迅速に対処できる体制を整えましょう。
まとめ: 福岡の畜産業で外国人材受け入れを成功させるために
福岡県の畜産業界では人手不足解消策として外国人技能実習生・特定技能者の受け入れが拡大しています。重要なのは、ただ人手を確保するだけでなく、現場で安心して働ける環境づくりと法令遵守を徹底し、受け入れた技能実習生が特定技能生となり長く就労してくれるよう支援することです。
信頼できる監理団体の力を借りながら計画を進めれば安心です。適切な準備とサポート体制があれば、外国人労働者の力は畜産経営の大きな支えとなります。自社に合った制度を選び、万全の受け入れ体制で持続可能な畜産経営を目指しましょう。
技能実習、特定技能制度に関心・興味のある方はお気軽にアジアアグリ協同組合へお問い合わせ下さい。