受け入れ企業は、技能実習生が技能等を適正に修得できるような体制整備として、事業所ごとに「技能実習責任者」「技能実習指導員」「生活指導員」を選任する必要があります。
技能実習に必要な技能実習責任者とは
技能実習責任者は、技能実習生の実習が適切に行われるよう管理・指導を行う責任者です。企業全体として技能実習制度を適切に実施するための「統括管理者」といえます。
主な業務内容
以下に関する内容の統括管理をおこなう。
技能実習の管理
- 実習全体の計画作成・進行管理
- 実習計画が適正に遂行されるよう指導・監督
法令遵守の確保
- 労働基準法や技能実習制度の法令を遵守しているか確認
- 不正行為や法令違反の防止
生活面の支援
- 実習生の生活全般にわたる相談対応
- 安全な住居の確保や生活の支援
関係機関との調整
- 監理団体、行政機関との連携
- 定期報告や監査対応
技能実習責任者になれる人
技能実習責任者になる方は、次の要件を満たす必要があります。
- 常勤の役員もしくは職員である者
- 技能実習指導員、生活指導員その他の技能実習に関与する職員を監督することができる立場にある者
- 過去3年以内に技能実習責任者講習を修了した者
※技能実習責任者は、技能実習指導員、生活指導員等を監督する立場にあることから、新人職員等の業務の経験が少ない者等を技能実習責任者に選任することはできません。
※技能実習責任者講習を実施している機関や講習の日程
厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158734.html
※技能実習責任者講習は、技能実習生受け入れ開始後も継続して3年毎に受講する必要があります。
技能実習指導員とは
技能実習指導員は、技能実習生に対して日常的な業務や実習の内容について直接的な指導・教育を行う担当者です。「現場での教育者」としての役割が強いです。
主な業務内容
技能の指導
- 実習計画に基づき、実際の業務や作業を通じて技能や知識を教える
- 技能検定や資格取得に向けた指導
業務内容の説明とサポート
- 実習生が業務内容を正確に理解できるよう説明
- 実習中に生じた疑問や問題に対応
安全衛生の指導
- 職場での安全対策や適切な作業方法を教える
- 職場のルールやマナーについても指導
技能実習指導員になれる人
技能実習指導員になる方は、次の要件を満たす必要があります。
- 常勤の役員もしくは職員である者
- 技能実習を行わせる事業所に所属する者
- 修得させる技能について5年以上の経験を有する者
※技能実習指導員は、技能実習生を直接指導する必要があることから、技能実習を行わせる事業所(工場など)に所属して勤務する者を選任しなければなりません。
※実習内容を充実させ、技能実習生に対して十分に指導できるようにするため、技能実習指導員には「5年以上の経験」が求められます。
「5年以上の経験」には、受け入れ企業以外での経験年数(例えば前に勤めていた会社での経験年数)も含めることができます。
※上記要件の他、受入職種によって追加要件が設けられている場合があります。(介護職種、林業職種など)
生活指導員とは
生活指導員とは、技能実習生が職場環境や生活環境に適応できるよう生活支援を行う生活指導の担当者です。技能実習生の相談窓口となり問題の発生を未然に防止する「生活サポーター」としての役割を担います。
主な業務内容
日本での生活における指導
- 日本での生活におけるルールや留意点の周知・注意喚起
技能実習生の生活状況の把握
- 技能実習生の生活状況の把握と問題解決
生活指導員になれる人
生活指導員になる方は、次の要件を満たす必要があります。
- 常勤の役員もしくは職員である者
- 技能実習を行わせる事業所に所属する者
※生活指導員は、技能実習生を生活面から直接指導する必要があることから、技能実習を行わせる事業所(工場など)に所属して勤務する者を選任しなければなりません。
※生活指導員は、体調管理の指導や技能実習生が住んでいる地域のごみの出し方に関するルールの説明、交通ルール遵守や遊泳等禁止区域への立ち入り禁止などの周知・注意喚起を行います。
まとめ
- 技能実習責任者は実習全体の管理を行い、制度の適正運用に責任を持つ「管理者」です。
- 技能実習指導員は現場で直接技能や知識を教える「教育者」です。
- 生活指導員は日本での生活を支える「サポーター」です。
三者は連携して技能実習生の支援を行うことが求められますが、それぞれの役割や責任範囲は明確に異なります。
(三者とも兼任や変更は可能です。)