技能実習生の受け入れを行う場合は、実習実施者(受入れ企業)から技能実習責任者を選任すること必要があります。

 今回の記事では、技能実習責任者の要件や役割、受講しなければならない講習についても解説をしていきます。

技能実習責任者とは

 技能実習制度の円滑な運営と実習生の適正な監理を担う重要な役割を果たし、技能実習制度を活用し外国人の受け入れを行う際に必ず選任しなければなりません。以下に、技能実習責任者の要件や役割について詳しく解説いたします。

技能能実習責任者になるための要件

 技能実習責任者の選任には、以下の要件を全て満たす必要があります。

  1. 実習実施者又はその常勤の役員若しくは職員である者
  2. 自己以外の技能実習指導員、生活指導員その他の技能実習に関与する職員を監督することができる立場にある者
  3. 過去3年以内に技能実習責任者に対する講習(主務大臣が告示した養成講習機関が実施する講習)を修了した者
    ※技能実習指導員、生活指導員は講習(養成講習)を受講することが必須ではございませんが、技能実習責任者は3年に1度講習を受講することが必須となっており、受講~3年が経過する前に再度受講が必要です。

技能実習責任者の役割

 技能実習責任者は以下の内容について統括管理し、技能実習全体の監督を担う役割があります。

  1. 技能実習指導員、生活指導員その他の技能実習に関与する職員を監督し、技能実習の進捗状況を管理
  2. 技能実習計画の作成
  3. 技能実習生が修得等をした技能等の評価
  4. 法務大臣、出入国在留 管理庁長官及び厚生労働大臣若しくは機構又は監理団体に対する届出、報告、通知 その他の手続
  5. 帳簿書類の作成、保管並びに実習実施報告書の作成
  6. 技能実習生の受入れ準備
  7. 監理団体との連絡調整
  8. 技能実習生の保護
  9. 技能実習生の労働条件、産業安全及び労働衛生
  10. 国及び地方公共団体の機関であって技能実習に関する事務を所掌するもの、機構その他関係機関との連絡調整

技能実習責任者になれない人

  1. 欠格事由に該当する者(禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終えた日から5年を経過していない者)
  2. 過去5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しい不当な行為をした者
  3. 未成年者

 また、技能実習責任者は技能実習指導員、生活指導員などを監督する立場にあるため、業務の経験が浅い新人職員を技能実習責任者に選任することも認められていません。

技能実習責任者講習について

 技能実習責任者講習の受講対象となるのは、技能実習責任者に選任されている者、もしくは、技能実習責任者講習を受講して、一定水準の知識を習得し、理解を深めようとする方も対象となります。

 技能実習責任者は3年ごとに受講が必須となっているため、3年に1度有効期限を更新するような形で受講する必要があります。

技能実習責任者講習の内容

技能実習責任者講習の内容についてご紹介させていただきます。

(以下の内容はあくまで一例です。各会場の詳しい開催時間等は開催スケジュールからご確認ください。また、オンライン講習の時間割はこちら(技能実習責任者等講習|全国労働基準関係団体連合会)をご確認ください。

講習は、講義と理解度テストの合計6時間となっています。

技能実習責任者講習(講義・テスト・解説で合計6時間)
時間講義時間内容
8:30~開場・受付
8:55~9:005分ガイダンス・注意事項
9:00~10:3090分講義① 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律について
10分休憩
10:40~11:1030分講義② 出入国管理及び難民認定法について
11:10~12:1060分講義③ 技能実習指導の行い方
休憩(昼食)60分
13:10~14:4090分講義④ 労働関係法令について
10分休憩
14:50~15:5060分講義⑤ 労働災害防止・労働災害時対応について
10分休憩
16:00~16:3030分理解度テストの実施及び採点
16:30~16:4010分受講証明書交付

技能実習責任者講習の理解度テストの難易度

 技能実習責任者講習では、最後に理解度テストが行われ、20問中7割以上(14問以上)の正解で合格となります。テスト形式は〇×形式となっており、問題の内容としても講義の内容をしっかりと聞いていれば答えることができる難易度となっています。
テストに合格すると受講証明書が交付され、不合格だと不合格通知書が交付されます。


 不合格だった場合は、別の日に再度講習を受講しテストを受け直す必要がありますので、できるだけ一度の受講で合格しましょう。

技能実習責任者講習はオンラインでも受講可能

 技能実習責任者講習は会場に直接行かなくても、オンラインで受講することも可能となっています。
オンラインでの講習はZOOMでの参加となり、参加するには1人1台のパソコン(ウェブカメラなどの周辺機器含む)が必要となります。タブレットやスマホでは参加が不可なのでご注意ください。

パソコンやZOOMに慣れている方であれば、オンラインでの受講がおすすめです。

まとめ

技能実習責任者について要点をまとめると以下の通りです。

  • 技能実習責任者は、技能実習を管理・監督する役割がある
  • 技能実習責任者は3年ごとに技能実習責任者講習を受講する必要がある
  • 養成講習は6時間かけて幅広い必要知識を学べる
  • 技能実習責任者講習はオンラインで受講も可能

 技能実習責任者は、技能実習制度の円滑な運営と実習生の適正な監理を担う重要な役割を担っており、適切な技能実習が行われるためには、技能実習責任者の役割が非常に重要となります。