福岡の建設現場では、作業工程の多さや夜間切替に人手が追いつかず、工期と安全の両立に悩む声が増えています。特に型枠・鉄筋・とび・内装など技能職で欠員が出ると、品質やコストにも大きな影響が出ます。

そこで選択肢として注目されているのが、外国人「技能実習生」の計画的な受け入れです。

面接から着任までの最短スケジュール、任せられる作業範囲、費用と適法運用のポイントを整理し、現場の意思決定を早めましょう。

このようなお悩みはございませんか?

  • いつまでに何人どの作業まで任せられるかが知りたい
  • 面接から入国・着任までの期間をできるだけ短くしたい
  • 夜勤時の割増賃金計算や36協定の運用でまちがえたくない
  • 高所作業や重機操作など危険作業の「できる/できない」を明確にしたい
  • 監理団体と特定技能の違い、費用と回収期間の目安を比較検討したい
  • 初月の通訳配置や7日間のOJT計画をきちんと用意したい
  • 請負契約との線引きや監査対応のポイントをおさえておきたい

本記事では、まず福岡県における外国人技能実習生の受入れ人数推移と全国との比較データを示します。現状を数字で把握すれば、採用計画の精度も上がるはずです。

次に、建設分野の主要職種(型枠・鉄筋・とび など)ごとに実習生に任せられる作業範囲を整理し、危険作業や夜間勤務に関する留意点も確認します。

さらに、技能実習・特定技能・請負の各制度について、在留資格や受入れ形態、費用構造、コンプライアンス面の違いを比較し、派遣が原則禁止とされる理由や偽装請負を避けるポイントも簡潔に解説します。

最後に、導入スケジュールを逆算するガントチャート7日間OJTの例通訳配置の時間割など現場で役立つテンプレートもあわせて紹介します。

記事を読み進めれば、外国人技能実習生受け入れに関するスケジュール・費用・適法性の不安が順に解消されていくでしょう。

この記事でわかること

  • 福岡県における外国人技能実習生の受入れ人数推移と全国での位置づけ
  • 建設分野で実習生が従事する主要職種と任せられる作業内容・注意点
  • 技能実習・特定技能・請負制度の特徴やメリット・デメリットの比較
  • 導入計画のスケジュール策定や初期OJTに役立つテンプレート情報

福岡県における建設分野の外国人技能実習制度の現状

1. 技能実習生の人数推移(福岡県・全国比較)

福岡県で技能実習生として在留する外国人数は近年増加傾向にあります。直近では、2023年末時点で約15,445人、2024年6月時点では16,039人に達しています(福岡県「外国人県民の現況」より)。

新型コロナウイルス感染症の影響で2021年末には約10,284人と一時的に減少しましたが、その後受入再開に伴い2022年末12,172人、2023年末15,445人と急回復し、過去最高水準に至っています。

全国的に見ても技能実習生数は2010年代に大幅増加し、2019年末に約41万人でピークに達しました。コロナ禍で2021年には約27.6万人まで減少したものの、その後回復し2023年末に約40.5万人、2024年末には45.6万人となって過去最多を更新しています。

福岡県はそのうち約3〜4%を占め、全国でも上位の受入県にあたります。福岡県の実習生数増加は、この全国的な傾向と同様に今後も緩やかな増加が見込まれます。

2. 建設分野の職種別技能実習生受入れ状況

建設分野は技能実習制度の中でも主要な受入分野であり、全国統計では2024年末時点で建設関係の技能実習生が106,568人と全体の23.3%を占め最多です。次に多いのが食品製造関係(20.3%)、機械・金属関係(13.3%)です。福岡県・九州地域でも同様に建設業の比率が高く、地域のインフラ整備や建築需要を背景に外国人材需要が顕著です。

建設分野における職種別内訳は以下の通りです。

職種名人数(全国)建設分野内シェア
とび職約22,000人最大
建設機械施工約12,800人
型枠施工約9,300人
鉄筋施工約8,800人
内装仕上げ約4,200人
建築大工約3,800人
配管約3,050人
防水施工約3,000人
左官約2,700人

福岡県や九州においても、とび職・鉄筋施工・型枠施工といった基幹技能職種に実習生が偏在する傾向が強いと考えられます。これは建設需要の高まりに対し、これらの技能職での人手不足を外国人労働者が補っている現状を反映しています。

任せられる作業内容と注意点(職種別実例)

  • とび職(足場):足場の組立補助、資材運搬、安全帯の使用確認など。高所作業時は特別教育の受講と安全監督者の指導が前提です。
  • 型枠施工:パネル搬入、釘打ち補助、型枠解体補助など。電動工具の使用は教育後に限定されます。
  • 鉄筋施工:結束線の準備や結束補助、鉄筋の組み立てなど。切創防止のため手袋・保護メガネを必ず着用。
  • 内装仕上げ:ボード運搬・墨付け・清掃作業など。粉じんや脚立転倒防止の教育が必要です。

3. 技能実習・特定技能・派遣・請負の制度比較

制度ごとの特徴を整理します。

技能実習制度

1993年に創設された制度で、発展途上国への技能移転を目的としています。

  • 在留期間:最長5年(1号・2号・3号に区分。移行には技能検定試験の合格が必要)。
  • 受入れ義務監理団体の管理下で実習計画を実施。労働者としての待遇(最低賃金以上、労働基準法遵守)が必要。
  • 転職:原則不可。
  • 人数制限:企業規模に応じた受入人数枠に制限あり(例:常勤30人以下の建設業者は技能実習1号が最大3人までなど)。
  • 費用目安:初期費用は50〜90万円程度、監理費は月額2〜5万円が目安(監理組合により異なる)。

特定技能制度(1号・2号)

2019年に創設された就労資格です。

  • 在留期間:1号は通算5年、2号は無期限で更新可能
  • 在留資格取得:技能試験と日本語試験が必要(技能実習2号修了者は免除)。
  • 雇用形態直接雇用のみで、派遣は禁止。
  • 特有の義務:建設分野では建設技能人材機構(JAC)への加入が義務付け(1人あたり月額12,500円の負担金や年会費が必要)。
  • 給与「日本人と同等以上」であることが法律上求められる。
  • 費用目安:初期費用は30〜50万円程度と技能実習より低めだが、継続雇用コストは高くなる傾向がある(支援機関により異なる)。

派遣

労働者派遣法により、建設業務における派遣労働は原則禁止です。技能実習や特定技能の外国人労働者も派遣形態での就労はできません。よって建設現場での外国人派遣は合法的選択肢にはなりません

請負

請負は請負会社が仕事の完成責任を持ち、労務管理も請負会社が行います

  • 外国人労働者も在留資格に適合すれば従事可能。
  • 注意点:実態が発注者の指揮命令に基づく場合は偽装請負と見なされ、職業安定法第44条違反(労働者供給事業の禁止)にあたる。
  • 監査での注視点「指揮命令を誰が行っているか」「給与を誰が支払っているか」

4. 着任時のOJTに役立つモデル例

着任されたばかりの実習生は、業務に関する基礎知識が不足しているのが一般的です。

最初の7日間で集中的に基礎を教え込むことで、作業への理解度や安全意識を迅速に身に付けることが期待でき、効果的に実践されている企業様もございます。

語学面では、翻訳アプリの利用、自社での通訳者採用、先輩実習生による通訳サポートなどが行われています。対応が困難な場合は、監理組合に相談の上、通訳を手配するなどして、万全のサポート体制を構築しましょう。

7日間のOJTモデル例

Day内容
Day1新規入場、危険予知訓練(KYT)、工具名称、安全区画確認
Day2指導者による作業実演、5分単位の実施と振り返り
Day3写真付き手順書(SOP)で反復訓練、通訳30分帯同
Day4品質不良の報告練習(例:「寸法が3mm超過」など定型報告)
Day5是正作業の流れ確認(誰が/いつまでに/どう直す)
Day6高所・感電・切創リスク再確認、教育記録への署名
Day7小テスト形式で10項目チェック、理解度評価と再教育

通訳“時間割”の型(初月目安)

  • 毎朝礼(10分):安全確認・作業段取りの翻訳補助
  • 検査・是正タイム(1日30〜60分):品質指摘の通訳対応
  • 週次ミーティング(30分):欠勤・残業・安全報告の共有
  • 緊急時対応:事故・体調不良・トラブル時のオンコール通訳

まとめ

福岡県の建設業では、技能実習生が型枠・鉄筋・とびなど基幹技能を支えており、人数は全国的な増加傾向と歩調を合わせています。

技能実習と特定技能はそれぞれ目的や特徴が異なり、コストや在留期間、雇用形態に違いがあります。派遣は禁止請負は実態が派遣と同様であれば偽装請負リスクがあるため注意が必要です。

導入を検討する際は、最新の統計データを踏まえて現状を把握し、コストと回収期間、適法な運用方法を整理することが大切です。逆算スケジュールやOJT計画を具体的に立てることで、工期・品質・安全のバランスを守りながら外国人材を有効に活用できるでしょう。


福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県で外国人技能実習生の受け入れに興味がある方は、当組合までお気軽にお問い合わせください。

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