日本の製造業や物流業界において、工業包装は製品の品質維持や輸送の安全性を確保するうえで欠かせない重要な工程です。

今回は工業包装職種における技能実習生の受け入れに関する要件や注意点をわかりやすく解説します。

工業包装職種で技能実習生を受け入れるための要件

技能実習実施者・受け入れ企業に関する要件

外国人技能実習生を受け入れるには、企業が「技能実習実施者」としての適格性を有している必要があります。具体的には、実習計画を適正に実施できる体制(指導員の配置、作業環境の整備など)を整えており、過去に労働関係法令違反などがないことが求められます。

また、実習生を監理する「監理団体」との連携も必要です。監理団体は定期的な監査や相談支援を行い、技能実習制度の適正な運用をサポートします。

外国人技能実習生が工業包装職種で働くための要件

技能実習生として来日する外国人は、送り出し機関がある国の政府認定制度に則り、基本的な学力や日本語の初級レベルをクリアする必要があります。さらに、工業包装に関する基礎的な技能や知識を習得していることが求められます。

工業包装職種での技能実習生の業務・作業内容

技能実習生が従事する作業内容は、厚生労働省により明確に定義されています。

必須業務

製品の種類・形状・輸送条件に応じた梱包設計、緩衝材の選定、箱詰めやパレット積み作業などが含まれます。

関連業務

検品、ラベル貼付、出荷準備、梱包仕様書の確認作業などが該当します。

周辺業務

作業場の清掃、資材の在庫確認、資材発注補助など、直接的な包装業務を支える作業です。

安全衛生業務

梱包作業における安全確保(保護具の着用、機械操作の安全点検など)や5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)活動への参加が含まれます。

使用する素材・材料

ダンボール、木材、プラスチック、スチールバンド、緩衝材(エアキャップ、発泡スチロールなど)を使用します。

外国人技能実習生が工業包装作業を行ううえでの注意点

工業包装の技能実習では、外国人実習生が日本の現場で専門的な包装技術を学びます。しかし、言語や文化、作業習慣の違いから、現場ではいくつかの配慮や注意が必要です。以下は、外国人実習生が安全かつ効率的に実習を行うために特に重視すべきポイントです。

安全教育は視覚的・実践的に行うことが重要

外国人実習生の多くは、日本語での長い説明をすぐに理解することが難しい場合があります。特に梱包作業では、カッターやエアー工具、梱包機械など、けがのリスクが高い道具を使用するため、事故防止のための安全教育は徹底する必要があります。

作業手順の「意味」まで伝える

ただ手順を教えるだけではなく、「なぜその作業が必要なのか」「それを間違えると何が起こるか」まで説明することで、理解が深まりミスも減ります。

言語の壁を意識した指示出し

専門用語や早口の日本語は伝わりにくいことがあります。専門用語には説明を付け加えたり、ゆっくり言葉を砕いて説明すると良いです。こうした工夫で、伝えたつもりのミスを防ぐことができます。

体調・体力面への配慮も忘れずに

梱包作業は立ち仕事や重量物の取り扱いが多く、体への負担が大きい仕事です。慣れない環境で疲労がたまりやすい実習生にとって、体力的なケアも重要です。

まとめ

外国人技能実習生が工業包装という専門分野で技術を身につけるためには、「教える側の姿勢」と「環境づくり」が非常に重要です。文化・言葉・考え方の違いを前提にしたうえで、丁寧な指導・安全管理・段階的なスキル習得の流れを意識することで、実習生の学びが確かなものになります。

梱包現場の実務と実習をどう結びつけるかを常に考え、実習生と信頼関係を築きながらきちんと指導していくのが大切です。