医療・福祉施設給食製造職種で技能実習生を受け入れるための要件

受入企業となるには次の要件を満たすことが必要となります。

  1. 技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員を選任しているなど、受け入れ体制を構築している
  2. 医療施設又は福祉施設に設置される特定給食施設である
  3. 技能実習生に対する報酬や待遇が日本人が従事する場合と同等以上である
  4. 技能実習日誌など、書類管理体制がある
  5. 技能実習生に適切な宿舎を確保する

技能実習実施者・受け入れ企業に関する要件

①技能実習生を受け入れる所が医療施設又は福祉施設に設置される特定給食施設である必要があります。

②入院患者など医学的な管理等を必要とする者に対する食事を継続的に1回100食以上又は1日250食以上提供する施設であり、かつ、管理栄養士又は栄養士を配置している医療施設等に限られています。

③健康増進法に基づく特定給食施設として届出を行っていなければならないことを原則とされています。

④受託業者が医療施設等で医療・福祉施設給食製造をする場合、更に食品衛生法に基づく営業許可(飲食店営業)の申請許可を受けなければならないことも原則となっています。

外国人技能実習生が医療・福祉施設給食製造職種で働くための要件

医療・福祉施設給食製造職種での技能実習生の受け入れ期間

技能実習1号(受け入れ1年目)

技能実習2号(受け入れ2年目・3年目)

医療・福祉施設給食製造職種で受け入れできる実習生の人数

技能実習生の受け入れ人数枠には企業規模に応じて制限があります。
なお、育成就労制度においても受け入れ人数に枠が設定される方向です。

第1号(1年間)第2号(2年間)優良基準適合者
第1号(1年間)第2号(2年間)第3号(2年間)
基本人数枠基本人数枠の2倍基本人数枠の2倍基本人数枠の4倍基本人数枠の6倍
実習実施者の常動職員総数技能実習生の人数
301人以上常動職員総数の20分の1
201人〜300人15人
101人〜200人10人
51人〜100人6人
41人〜50人5人
31人〜40人4人
30人以下3人

医療・福祉施設給食製造職種での技能実習生の業務・作業内容

<必須業務>

技能実習1号(受け入れ1年目)

(1)医療・福祉施設給食製造作業
①下処理作業
  1. 食材の選別、洗浄、消毒及び殺菌作業
  2. 食材の皮むき及びカット作業
②調理作業( i)、ii)の双方を行う。)

ⅰ)加熱調理 (実習施設に応じて、炊く、茹でる、揚げる、炒める、煮る、焼く、蒸すの調理を行う。)

  1. 食材(下処理済)の準備作業
  2. 調理機械・器具等の準備・使用作業
  3. 調理及び加熱温度測定作業

ii)非加熱調理(合える(和える))

  1. 食材の計量作業
  2. 調理機械・器具等の準備・使用作業
  3. 調理状態確認作業
③症状等に応じた、栄養士等の指導に基づく調理作業
  1. 嚥下機能に応じた、米飯の炊き分け、分粥食の調理作業
  2. 嚥下機能に応じた、食品の刻み作業
④計量作業、盛付作業及びトレーへのセット作業
⑤製造環境の一般衛生管理作業
  1. 施設、設備等、ネズミ及び昆虫対策作業
  2. 作業着、マスク、手袋、帽子、毛髪等の付着物点検作業

技能実習2号(受け入れ2年目・3年目)

※1年目の実習で習得した技能を更に習熟させるため、作業内容が技能実習1号よりも多くなります。

(1)医療・福祉施設給食製造作業
①下処理作業
  1. 食材の選別、洗浄、消毒及び殺菌作業
  2. 食材の皮剥き及びカット作業
②調理作業( i)、ii)の双方を行う。)

ⅰ)加熱調理 (実習施設に応じて、炊く、茹でる、揚げる、炒める、煮る、焼く、蒸すの調理を行う。)

  1. 食材(下処理済)の準備作業
  2. 調理機械・器具等の準備・使用作業
  3. 調理及び加熱温度測定作業
  4. 品質管理基準に沿った温度管理作業
  5. 調理状態確認作業

ii)非加熱調理(合える(和える))

  1. 食材の計量作業
  2. 調理機械・器具等の準備・使用作業
  3. 調理状態確認作業
③症状等に応じた、栄養士等の指導に基づく調理作業
  1. 嚥下機能に応じた、米飯の炊き分け、分粥食の調理作業
  2. 嚥下機能に応じた、食品の刻み作業
  3. 薬剤の影響等に配慮した食事の調理作業
  4. アレルギーに配慮した食事の調理作業
④計量作業、盛付作業及びトレーへのセット作業
⑤製造環境の一般衛生管理及びHACCPの考え方を取り入れた衛生管理作業
  1. 施設、設備等、ネズミ及び昆虫対策作業
  2. 作業着、マスク、手袋、帽子、毛髪等の付着物点検作業
  3. HACCPの考え方を取り入れた衛生管理作業
    (※HACCPの考え方を取り入れた衛生管理作業とは、②ⅰ)4において、重要な衛生管理のポイントを設定し、そのモニタリングと管理記録を行うことをいう。)

<関連業務>

技能実習1号(受け入れ1年目)、技能実習2号(受け入れ2年目・3年目)共通

①原料入庫検品作業
②医学的な管理等を必要としない者の食事の調理作業

<周辺業務>

技能実習1号(受け入れ1年目)、技能実習2号(受け入れ2年目・3年目)共通

①給食施設内清掃作業
②給食施設内移動作業
③食事の運搬作業(下膳作業を含む)
④食器等の洗浄作業
⑤食器等の消毒保管作業

<安全衛生業務>

それぞれの業務において、安全衛生に係る業務は10分の1以上を占める必要があります。

①安全衛生

  1. 雇い入れ時等の安全衛生教育
  2. 作業開始前の安全確認
  3. 医療・福祉施設給食製造職種に必要な整理整頓
  4. 医療・福祉施設給食製造職種の調理用機械設備等及び周囲の安全確認
  5. 衛生保護着等の着用と服装の安全点検
  6. 安全装置の使用等による安全な作業
  7. 労働衛生上の有害性を防止するための作業
  8. 異常時の応急措置を修得するための作業
  9. 医療・福祉施設給食製造作業における事故・疾病予防に関わる安全衛生

②食品衛生

  1. 作業着の衛生管理
  2. 調理器具の衛生維持
  3. 製造用機器等の衛生維持
  4. 作業終了時の作業場の清掃等による衛生維持

<使用する素材・材料>

※該当するものを選択する。

  1. 食肉類(冷凍、冷蔵、乾燥(干し肉))
  2. 野菜類(冷凍、冷蔵、乾燥(干しシイタケ、切り干し大根等))
  3. 果物類(冷凍、冷蔵、乾燥、缶詰(ドライフルーツ))
  4. 米殻類(粒状、粉状)
  5. 加工食品全般(冷凍、冷蔵、乾燥(高野豆腐、車麩等)) 6、その他(魚介類(干しエビ、干し魚介類等))

<使用する機械・機器>

※該当するものを選択する。

①機械、設備(附属品を含む。)等(加熱器の熱源は電気・IH・ガス・蒸気使用)

  1. 調理機器    加熱・非加熱調理に応じて使用し、他の機器等は作業に応じて使用する。
  2. 用途別フードカッター
  3. 急速冷却器
  4. 冷凍冷蔵庫
  5. 真空機械
  6. フードプロセッサー
  7. 洗浄機
  8. 消毒保管庫
  9. その他の調理器具

②器工具等を必要に応じて使用すること

  1. 包丁・まな板類
  2. はさみ類
  3. 皮剥き道具
  4. 製品バット(番重)
  5. コンテナ(番重)
  6. ホテルパン
  7. かご類
  8. その他の器工具

③測定器類を必要に応じて使用すること

  1. 中心温度計
  2. 表面温度測定器
  3. 塩分濃度測定器
  4. 計量器
  5. 消毒濃度測定器 
  6. その他の測定器

<移行対象職種・作業とならない業務>

  1. そう菜加工作業
  2. 調理非加熱処理等の処理を全く行わない詰め合わせだけの加工食品製造作業
  3. 配達飲食サービス業における配達、配膳、接客及び食器の洗浄などの作業
  4. 上記の関連業務及び周辺業務のみの場合

医療・福祉施設給食製造職種の外国人技能実習評価試験について

初級

学科

ひらがなで分ち書き。 ヘボン式ローマ字も併記。

実技;製作等作業試験

技能実習1号(受け入れ1年目) から技能実習2号(受け入れ2年目)移行時に受験が必要となり、第1号技能実習が修了する3か月前までに初級を受検(入国後9ヶ月目まで)する必要がある。不合格の場合は、再試験が1度だけ受けられます。 しかし、再試験も不合格の場合は、2号実習生への在留資格変更が認められず、残念ながら入国して1年で帰国することになります。

専門級

学科

日本語(漢字カナ交り表記とし、漢字にはルビを付す。)

実技;製作等作業試験

第2号技能実習が修了する6か月前までに専門級を受検(入国後30ヶ月目まで)する必要があります。

医療・福祉施設給食製造職種の外国人技能実習生の受け入れ状況

食品製造業全体の技能実習生に占める割合は比較的少ないものの、一定数存在します。

医療・福祉施設給食製造職種で技能実習生を受け入れる場合の注意点

先述の通り、受け入れ企業様への要件や、受け入れ後には技能実習生も技能実習評価試験を受験する必要がございます。要件に適合しているか確認の上、受け入れをご検討いただきますようお願いいたします。

まとめ

日本の医療・福祉施設給食製造技術を学ぶことは、やがて到来するベトナムの高齢化社会に対して大変有効であると考えられています。

ベトナム以外の国でも安心安全な食事を提供するだけでなく、大規模な製造と効率的な生産方法を日本で学び、帰国後に役立てたい若者は非常に多いです。

技能実習修了後、あるいは育成就労の終了後には、特定技能「外食業」または「飲食料品製造業」への移行も考えられます。特定技能2号も認められていることから、有望な方に働き続けてもらえる制度も整っています。

今後、医療・福祉施設給食製造職種で外国人技能実習生の受け入れをご検討の方は、当組合へご相談・ご連絡いただきますようお願いいたします。