現在、ミャンマーにおける情勢は地域によって大きく異なっております。当組合でも多くのミャンマー人実習生を受け入れていただいている企業様がおられますので、本稿では必要な情報を冷静に整理し、現地との連携状況や今後の展望を含めてご案内させていただきます。

 なお、記載する内容は2025年4月末時点での情報であり、状況は今後変化する可能性があることをご理解ください。

内戦の情勢と現地の安全について

 ミャンマー国内では一部地域において武力衝突が継続している報道がございますが、首都ネピドーおよび最大都市ヤンゴンでは現在も平穏が保たれており、実習生の教育機関や面接地も通常通りの運営が続いています。

 武力衝突が発生しているのは、主に民主派の支持が強い地方部(サガイン管区やカヤー州など)であり、ヤンゴンやマンダレーといった都市部では日常生活が維持されています。ヤンゴンでは市場、交通、公共機関も通常どおり稼働しており、面接等の実務にも大きな影響は出ておりません。

 とはいえ、現地においては慎重な行動が必要な地域もあるため、当組合では常に現地の送り出し機関等と密に連携を取り、安全確保を最優先に対応しております。

ミャンマー人実習生(特定技能)の派遣状況

面接の可否について

 2025年5月現在、女性の特定技能実習生については面接が可能です。面接はすべてヤンゴン市内で実施され、安全に配慮された環境のもと行われています。なお、5月以降は月間派遣枠の上限が設けられる見込みであり、紹介費用が1,300どるから1,800ドルに引き上げられるとのことです。

 一方、男性については年齢などの条件に関する政府の発表待ちのため、現時点では面接は見合わせております。状況が整い次第、速やかに再開する予定です。

面接のみの実施について(将来的な出国を見据えて)

 現在の制度では、1送り出し機関あたり月15名までの出国枠が設けられておりますが、将来的な出国を見据えた「面接のみの実施」については可能です。 現地の状況を鑑みても、今の段階で面接を行い、候補者の確保を進めておくことは有益と考えられますが、入国までこれまで以上に時間がかかることが予想されます。

 なお、3月に発表された新制度では、出国までに13段階の行政手続きを経る必要があるため、通常より時間を要する場合がございます。具体的には、軍評議会(SAC)労働省が発表した新規則により、送り出し機関は以下の手続きを順に踏む必要があります。

  1. 送り出し機関から労働局に求人票(デマンドレター)を提出
  2. 労働局から労働省に提出
  3. 労働省から外務省に通知
  4. 労働局から送り出し機関に手続きを進める許可を通知
  5. 送り出し機関が労働局に労働契約書を締結するための許可を申請
  6. 労働局から労働省に提出し、労働省の許可を得る
  7. 労働局から送り出し機関に労働契約書を締結する許可を通知。労働局が指定するヤンゴン市内の場所に送り出し機関代表者および労働者が出向き、労働局担当者の立ち合いの下で労働契約書に署名
  8. 送り出し機関から労働局に講習会参加と海外労働者証明カード(OWIC)の発行に関して許可を申請
  9. 労働局が講習会参加とOWIC発行に関して許可
  10. 送り出し機関が労働局に労働者の派遣に関して許可を申請
  11. 労働局が労働者の派遣を許可し、送り出し機関が出国日を届け出
  12. 労働局から送り出し機関に出国許可を通知。同時に空港入管に対しても通知
  13. 出国したことを労働局に報告

 最終的に出国が認められるには、空港入管に通知されたリストに氏名が記載されている必要があり、たとえ必要書類をすべて所持していても、このリストに登録されていない場合は出国が認められません。

 この新規則は、5月2日以降に再開される新規受付分から適用される見通しとなっています。

地震の影響と政府機関の運営状況

 2025年3月28日に発生した大地震により、一部地域(マンダレー市、サガイン管区など)では大きな被害が報告されています。政府関係の主要な役所も影響を受けており、手続等が止まっている部署もあるようです。

 ミャンマー人が出国するために必要なスマートカード(身分証明書)の発給については、4月2日に作成許可が一度だけ発表されましたが、その後再度止まっており、再開が待たれる状況となっています。当組合としても引き続き状況を注視しているところです。

今後に向けて

 ミャンマー国内は依然として注意が必要な地域があるものの、当組合と提携している送り出し機関や面接地のある都市部は、安定した環境が維持されています。

 日本国内における人材不足が深刻化するなかで、入国し就労されているミャンマー人材は下記企業から高い評価を受けています。地震後の復興や内戦が終結し、一刻も早く正常化することを願っています。

 当組合では、今後も現地との連携を強化し、安全かつ円滑な実習生の受け入れをサポートしてまいります。ご不明な点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。