技能実習日誌という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
技能実習生を受入れている企業は、ご存知だと思いますが受入経験が無い企業や今後、検討している企業は分からない事が多いと思います。
こちらの記事で、技能実習日誌の基本的な情報や弊組合が取り組んでいる事をご紹介します。
技能実習日誌とは
技能実習生が、実習を通じて習得した技術や知識、日々の作業内容を記録するための書類です。この日誌は、技能実習生が実習期間中に進捗状況を管理し、企業や監理団体が実習内容を把握できるようにするための重要なツールです。
日誌というと技能実習生が、自分で記入するかのようにも感じますが、技能実習生自身は行いません。受入れ企業に作成義務があります。
記載目的と内容
技能実習生が実際に習得した技能を把握する(技能習得の確認)
作業内容や、学んだ技能、技術に関する詳細を記入します。例えば、作業の手順や使用した機器、技術的なポイントなどです。
過重労働や不適切な労働条件がないか確認(労働状況の監視)
実習を行った時間や場所、休憩時間、残業など労働時間に関する情報も記載されます。
技能実習制度における法的要件を満たしているかの確認(実習制度の遵守)
「必須業務」「関連業務」「周辺業務」「安全衛生業務」の4つの業務を行っております。時間全体の2分の1以上を必須業務とし、 関連業務は2分の1以下、周辺業務は3分の1以下、安全衛生業務は各作業10分の1以上とする事と定められており、割合配分通りに調整しなければならない。
指導内容の記録と共有(指導内容の把握)
指導内容を記録する事によって、習得時間や教育課程を把握することが出来る。また、指導員が変更になった際も、新しい指導員は技能実習日誌を見ることによって、円滑な指導を行うことができるので実習をスムーズに進めることに繋がります。
技能実習日誌の書き方
① 日付
・実習を行った日付を記入します。公休や有給、欠勤の場合も記入する。
② 実習内容と項目
・実習で行った作業を記入します。ただし、可能な限り実習実施予定表の記載の趣旨に沿った文言が望ましいです。
・技能実習生に従事させた業務の横の欄には、数字を記入する欄があります。
実習計画の「技能実習の内容」という箇所があります。作業に振られている記号を記入する。
③ 指導内容
・技能実習生に対して行った指導の内容を記入する。
④ 指導員の名前
・担当した指導員の名前を記入する。登録が無い従業員は、記入不可。
① 日付 | ② 技能実習生に従事させた業務 | ③ 技能実習生に対する指導の内容 | ④ 指導者氏名 | ||
11月1日 | 金 | (1)とび作業 | 【1】ー1ー① | ① とび作業の段取り作業 | 登録名 |
11月2日 | 土 | (2)安全衛生業務 | 【1】ー2ー② | ② 危険予知活動の教育 | 登録名 |
11月3日 | 日 | 公 休 | 登録名 | ||
11月4日 | 月 | (2)安全衛生業務 | 【1】ー2ー① | ① 雇入れ時等の安全衛生教育 | 登録名 |
※注意点
技能実習日誌は、実習指導員の方が毎日記載しなければなりません。
その日にどのような指導をして、どのような実習が行われたかを把握している指導員が記入する必要があります。指導員は、日々の記録を正確に行うことが求められ虚偽の記載や不正確な記録は、実習生や企業にとって法的な問題を引き起こす可能性があります。
また、技能実習日誌には保管期間が定められています。実習終了後1年間となっています。つまり、技能実習生が配属されてから最低4年間保管しなければなりません。保管方法はデータor紙、どちらでも構いません。
ここで、受入企業様からよくご質問がある内容を実例踏まえてご紹介させていただきます。
質問①
Q. 技能実習が終了してから、なぜ保管しなければならないのか?
A. 外国人技能実習機構が、不定期で受入企業様に監査訪問に訪れます。基本的に、技能実習生在職中に訪問に来ますが、稀に実習終了後に訪問に訪れる可能性がございます。
その際に、技能実習日誌を提出しなければなりません。
質問②
Q. 技能実習生を複数人受入れている場合は、技能実習日誌はどのように記入すればよろしいですか?
A. 技能実習生には、1年目(1号)2、3年目(2号)4、5年目(3号)と区分に分けられており実習期間が異なります。また、同じ区分でも現場での状況により業務が異なる場合もあると思います。こういう場合は、分けて作成して下さい。技能実習生ごとに、正確に記録する為です。
アジアアグリ協同組合九州支部の取り組み
弊組合は、選択式のフォーマットを作成しております。
これは、受入企業様が本業と指導の合間を縫って作成する事が大変という意見が多くありましたので、より円滑かつ作業軽減の為に作成したものになります。
日付・実習内容と項目・指導内容が選択式になっており、選択すると自動入力になっております。また、業務割合も項目を選択する事によって自動計算してくれますので配分調整出来ます。この取り組みによって、受入企業様から業務軽減したと多くの声をいただいております。
まとめ
技能実習日誌は、実習生の学びと成長を記録するための重要なツールであり、実習内容や成果を正確に記録することが求められます。また、法的にも実習内容を証明するために必要な場合がある為、日々の実習後にしっかりと記録をつけることが大切です。
また、受入企業様や監理団体にとって管理・監督の手段として非常に重要な役割を担っています。