「技能実習」と「特定技能」は、外国人を雇用する上で共通点も多く混同されがちです。しかし両者は似て非なるものです。お互いの制度の目的などの違いがあります。ここで違いをきっちり理解することで自社に必要な外国人材の特徴を捉え、適切な受け入れを考慮していただければと思います。

技能実習と特定技能の目的

技能実習

 「外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力すること」

特定技能

 「国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れること」

 二つの目的を並べてみた際に、明確に違いがあり、技能実習は「発展途上国の技術拡大」、特定技能は「人員不足による労働力提供」となります。その上でメリット、デメリットを説明させていただきます。

技能実習と特定技能のメリットとデメリット

技能実習のメリット

  1. 3年~5年の実習期間中であれば基本的には転籍できないので継続的に雇用できる。
  2. 求人・広告費が外国に発注をかけるため、継続して比較的に人が集まりやすく日本で掲載する求人・広告費用が安価で済ませることが出来る。
  3. 基本的に実習生は18~30歳が多いことにより、若い人材が多くなる。

技能実習のデメリット

  1. 最長5年間で実習が修了してしまうこと。3~5年間しか実習が出来ないため、優秀な人材に育っても延長が出来ない場合がある。
    ※在留区分特定技能に変更して雇用継続は可能。
  2. 提出する書類がとても多い。外国人技能実習機構に提出する書類が多く、また実習の為毎月、賃金台帳(給与明細)、出勤簿、日誌、管理簿を組合に提出する必要がある。こういった提出すべき書類が遅れたり、提出されない等があれば実習中断の可能性もでてくる。
  3. 認定計画の中で決められた業務でしか対応できない。指定された業務以外を行うことで企業様が罰せられる場合があり、一番重い罰則が営業停止処分である。
  4. 雇用人数が企業様の常勤人数に左右されるので、1年間で決まった人数でしか雇用できない。

まとめ

 世間のイメージとして、ひとくくりにされがちな「特定技能」と「技能実習」です。しかし、制度の目的や内容は異なる点が多く、両者はまったくの別物です。

 技能実習と特定技能は、どちらも外国人労働者の在留資格です。それぞれの制度では、目的の違いや対象職種の違いなどがあるため、弊組合に事前にご相談いただけることできちんとご説明をさせていただきます。説明をしっかりお聞きいただき企業様に必要な外国人材をきちん考えていただければ幸いでございます。

どちらの制度で受け入れるべきか迷っている場合は、さまざまな視点で考えてみることで自社に適した選択が実現できます。

また技能実習から特定技能へ移行する場合であってもしっかりメリット、デメリットを理解したうえで判断する必要があります。

メリット、デメリットにつきましても今後もご共有させていただきますので今後もコラムを見ていただければ幸いです。