技能実習生は様々な職種で活躍しています。建設、食品製造、繊維、機械金属、農業、漁業など多岐にわたり、2024年10月現在移行対象職種は91職種167作業ございます。

「技能実習生の移行対象職種」とは?

 「技能実習生の移行対象職種」とは、技能実習2号に移行ができる職種のことです。技能実習2号へ移行ができることにより、合計3年間の技能実習が可能となります。

技能実習の区分

技能実習2号・3号への移行には技能検定合格が必須
技能実習3号への移行には優良認定が必要

 技能実習は、下記の3つに分けられます。

  • 技能実習1号・・・知識と技能等の習得(1年目)
  • 技能実習2号・・・知識と技能等の習熟(2・3年目)
  • 技能実習3号・・・より高度な知識と技能等の習得(4・5年目)

 技能実習1号から技能実習2号、技能実習2号から技能実習3号へ移行するには、技能検定や技能評価試験に合格しなければなりません。
※技能検定で不合格だった場合、技能実習期間中の再受検は1回まで可能です。

 また技能実習3号を受け入れるには、受入れ企業様と監理団体が外国人技能実習機構からの優良認定を受ける必要があります。

技能実習の審査基準

 技能実習生が従事する業務が移行対象職種・作業に該当するかの判断基準として、厚生労働省が公表している「審査基準」があります。「審査基準」には職種・作業に関する細かな要件が書かれています。

※技能実習計画審査基準・技能実習実施計画書モデル例・技能評価試験の試験基準(厚生労働省HP)

技能実習生の受け入れが可能な職種一覧(2号移行対象職種)
技能実習3号に移行できない職種

 現在の移行対象職種の一覧は下記のとおりです(2024年9月30日時点)

※最新のものはこちら(JITCO 技能実習制度の職種・作業について)からご確認ください。

農業・林業関係(3職種7作業)

コード職種作業職種特有の要件
1-1-1耕種農業●施設園芸技能実習計画の提出にあたり営農証明書等を提示すること
1-1-2畑作・野菜
1-1-3果樹
1-2-1畜産農業●養豚
1-2-2養鶏
1-2-3酪農
1-3-1林業育林・素材生産作業事業所の要件(林業労働力の確保の促進に関する法律第5条の認定を受けている者、または、森林経営管理法第36条に基づく民間事業者)や受け入れ人数枠(技能実習生の総数が常勤の職員の総数を超えることができない)など、特有の条件を満たすこと(特定の職種及び作業に係る技能実習制度運用要領-林業職種の育林・素材生産作業の基準について-を参照のこと)

漁業関係(2職種10作業)

コード職種作業職種特有の要件
2-1-1漁船漁業●かつお一本釣り漁業水産庁に設置された漁業技能実習事業協議会より、技能実習計画の申請に添付する証明書の交付を受けることを含め、特有の条件を満たすこと(水産庁HP及び、特定の職種及び作業に係る技能実習制度運用要領 -漁船漁業職種及び養殖業職種に属する作業の基準について- を参照のこと)
2-1-2延縄漁業
2-1-3いか釣り漁業
2-1-4まき網漁業
2-1-5ひき網漁業
2-1-6刺し網漁業
2-1-7定置網漁業
2-1-8かに・えびかご漁業
2-1-9棒受網漁業△
2-2-1養殖業●ほたてがい・まがき養殖作業

建設関係(22職種33作業)

※建設職種は、建設キャリアアップシステムへの登録が必要です。

コード職種作業職種特有の要件
3-1-1さく井パーカッション式さく井工事2020年1月より、受入れ人数枠やキャリアアップシステムの登録等にかかる固有の基準が適用される場合があるので対応すること(特定の職種及び作業に係る技能実習制度運用要領 -建設関係職種等の基準について- を参照のこと)。
3-1-2ロータリー式さく井工事
3-2-1建築板金ダクト板金
3-2-2内外装板金
3-3-1冷凍空気調和機器施工冷凍空気調和機器施工
3-4-1建具製作木製建具手加工
3-5-1建築大工大工工事
3-6-1型枠施工型枠工事
3-7-1鉄筋施工鉄筋組立て
3-8-1とびとび
3-9-1石材施工石材加工
3-9-2石張り
3-10-1タイル張りタイル張り
3-11-1かわらぶきかわらぶき
3-12-1左官左官
3-13-1配管建築配管
3-13-2プラント配管
3-14-1熱絶縁施工保温保冷工事
3-15-1内装仕上げ施工プラスチック系床仕上げ工事
3-15-2カーペット系床仕上げ工事
3-15-3鋼製下地工事
3-15-4ボード仕上げ工事
3-15-5カーテン工事
3-16-1サッシ施工ビル用サッシ施工
3-17-1防水施工シーリング防水工事
3-18-1コンクリート圧送施工コンクリート圧送工事
3-19-1ウェルポイント施工ウェルポイント工事
3-20-1表装壁装
3-21-1建設機械施工●押土・整地
3-21-2積込み
3-21-3掘削
3-21-4締固め
3-22-1築炉築炉

食品製造関係(11職種19作業)

コード職種作業職種特有の要件
4-1-1缶詰巻締●缶詰巻締
4-2-1食鳥処理加工業●食鳥処理加工「食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律」に基づく都道府県知事の許可証を有する事業所で行うこと
4-3-1加熱性水産加工食品製造業●節類製造
4-3-2加熱乾製品製造
4-3-3調味加工品製造
4-3-4くん製品製造
4-4-1非加熱性水産加工食品製造業●塩蔵品製造
4-4-2乾製品製造
4-4-3発酵食品製造
4-4-4調理加工品製造
4-4-5生食用加工品製造
4-5-1水産練り製品製造かまぼこ製品製造
4-6-1牛豚食肉処理加工業●牛豚部分肉製造食品衛生法に基づく食肉処理営業許可書を有する事業所の業態であること
4-6-2牛豚精肉商品製造△食品衛生法に基づく食肉処理業または食肉販売業の営業許可を有する事業所の業態であること
4-7-1ハム・ソーセージ・ベーコン製造ハム・ソーセージ・ベーコン製造
4-8-1パン製造パン製造
4-9-1そう菜製造業●そう菜加工企業や事業主に食品衛生法に基づく営業許可の取得を求めるほか、食品の大量調理を行うための厳密な設備要件などの要件を満たしていること(そう菜製造業職種の審査基準を参照のこと)
4-10-1農産物漬物製造業●△農産物漬物製造漬物製造管理士2級以上の有資格者が在籍している実習実施者であること
4-11-1医療・福祉施設給食製造●△医療・福祉施設給食製造施設が健康増進法に基づく特定給食施設としての届出を行っている必要がある点を含め、いくつか特有の条件を満たしていること(医療・福祉施設給食製造職種の審査基準を参照のこと)

繊維・衣服関係(13職種22作業)

コード職種作業職種特有の要件
5-1-1紡績運転●前紡工程
5-1-2精紡工程
5-1-3巻糸工程
5-1-4合ねん糸工程
5-2-1織布運転●準備工程
5-2-2製織工程
5-2-3仕上工程
5-3-1染色糸浸染
5-3-2織物・ニット浸染
5-4-1ニット製品製造靴下製造
5-4-2丸編みニット製造
5-5-1たて編ニット生地製造●たて編ニット生地製造
5-6-1婦人子供服製造婦人子供既製服縫製
5-7-1紳士服製造紳士既製服製造
5-8-1下着類製造●下着類製造
5-9-1寝具製作寝具製作
5-10-1カーペット製造●△織じゅうたん製造
5-10-2タフテッドカーペット製造
5-10-3ニードルパンチカーペット製造
5-11-1帆布製品製造帆布製品製造
5-12-1布はく縫製ワイシャツ製造
5-13-1座席シート縫製●自動車シート縫製

機械・金属関係(17職種34作業)

コード職種作業職種特有の要件
6-1-1鋳造鋳鉄鋳物鋳造
6-1-2非鉄金属鋳物鋳造
6-2-1鍛造ハンマ型鍛造
6-2-2プレス型鍛造
6-3-1ダイカストホットチャンバダイカスト
6-3-2コールドチャンバダイカスト
6-4-1機械加工普通旋盤
6-4-2フライス盤
6-4-3数値制御旋盤
6-4-4マシニングセンタ
6-5-1金属プレス加工金属プレス
6-6-1鉄工構造物鉄工
6-7-1工場板金機械板金
6-8-1めっき電気めっき
6-8-2溶融亜鉛めっき
6-9-1アルミニウム陽極酸化処理陽極酸化処理
6-10-1仕上げ治工具仕上げ
6-10-2金型仕上げ
6-10-3機械組立仕上げ
6-11-1機械検査機械検査
6-12-1機械保全機械系保全中長期にわたる保全計画書や保全部門のわかる組織図等を提示すること
6-13-1電子機器組立て電子機器組立て
6-14-1電気機器組立て回転電機組立て
6-14-2変圧器組立て
6-14-3配電盤・制御盤組立て
6-14-4開閉制御器具組立て
6-14-5回転電機巻線製作
6-15-1プリント配線板製造プリント配線板設計
6-15-2プリント配線板製造
6-16-1アルミニウム圧延・押出製品製造●△引抜加工
6-16-2仕上げ
6-17-1金属熱処理業●全体熱処理作業以下の①または②の要件を満たす必要がある。
①専業で金属熱処理を行っている事業所(日本標準産業分類の細分類2465に該当する事業所)
②事業の一部に金属熱処理の部署等があり、以下の両方の要件を満たす事業所
・金属熱処理に専属で従事している常勤職員が10名以上在籍していること
・金属熱処理技能士(特級又は1級)が1名以上勤務していること
6-17-2表面熱処理(浸炭・浸炭窒化・窒化)作業
6-17-3部分熱処理(高周波熱処理・炎熱処理)作業

その他(21職種38作業)

コード職種作業職種特有の要件
7-1-1家具製作家具手加工
7-2-1印刷オフセット印刷
7-2-2グラビア印刷●△
7-3-1製本製本
7-4-1プラスチック成形圧縮成形
7-4-2射出成形
7-4-3インフレーション成形
7-4-4ブロー成形
7-5-1強化プラスチック成形手積み積層成形
7-6-1塗装建築塗装
7-6-2金属塗装
7-6-3鋼橋塗装
7-6-4噴霧塗装
7-7-1溶接●手溶接
7-7-2半自動溶接
7-8-1工業包装工業包装
7-9-1紙器・段ボール箱製造印刷箱打抜き
7-9-2印刷箱製箱
7-9-3貼箱製造
7-9-4段ボール箱製造
7-10-1陶磁器工業製品製造●機械ろくろ成形
7-10-2圧力鋳込み成形
7-10-3パッド印刷
7-11-1自動車整備●自動車整備道路運送車両法に基づき地方運輸局長から認証を受けた自動車特定整備事業場における作業でなければならない点を含め、いくつか特有の要件を満たしていること(特定の職種及び作業に係る技能実習制度運用要領-自動車整備職種の自動車整備作業の基準について-を参照のこと)
7-12-1ビルクリーニングビルクリーニング建築物における衛生的環境の確保に関する法律に掲げる登録業種のうち、第1号の「建築物清掃業」又は第8号「建築物環境衛生総合管理業」の登録を受けていること
7-13-1介護●介護監理団体、企業・事業主に専門知識と技術を有する者の在籍が求められる点を含め、いくつか特有の条件を満たすこと(特定の職種及び作業に係る技能実習制度運用要領-介護職種の基準について- を参照のこと)
7-14-1リネンサプライ●△リネンサプライ仕上げホテルリネン関係であれば(一社)日本リネンサプライ協会が定める「リネンサプライ業に係わる洗濯施設及び設備に関する衛生基準」、病院寝具関係であれば(一財)医療関連サービス振興会が定める「寝具類洗濯業務に関する基準(認定基準)」の認定を受けた施設であること
7-15-1コンクリート製品製造●コンクリート製品製造
7-16-1宿泊●△接客・衛生管理下記の①~②のすべての条件を満たす宿泊施設における作業であること
① 旅館業法に定める旅館・ホテル営業の許可を得て、専ら客と対面して接遇を行う(店舗型性風俗特殊営業に関する施設は除く)こと
② 食品衛生法に基づく営業許可を得ていること
7-17-1RPF製造●RPF製造下記の①~④のすべての要件を満たすこと。
① JIS規格(JISZ7311:2010認証)を受けている工場または300トン/月以上の生産能力を有する工場である。
② 安全管理者(常時50人以上の労働者を使用する工場)または安全衛生推進者(常時50人未満の労働者を使用する工場)を選任している。
③ 安全衛生委員会を設置し、毎月1回以上開催するとともに、議事の概要を労働者に周知している。
④ 日本RPF工業会が定めるひな型に準じた安全衛生規定を制定している。
(審査基準-作業の定義より)
7-18-1鉄道施設保守整備●軌道保守整備
7-19-1ゴム製品製造●△成形加工
7-19-2押出し加工
7-19-3混練り圧延加工
7-19-4複合積層加工
7-20-1鉄道車両整備●走行装置検修・解ぎ装
7-20-2空気装置検修・解ぎ装
7-21-1木材加工●△機械製材作業技能実習生を受け入れる事業所が、「農林水産業・食品産業の作業安全のための規範(個別規範:木材産業)事業者向け」に基づく取組が行われていることについて、一般社団法人全国木材組合連合会の確認を受けた者であること。

〇社内検定型(2職種4作業)

コード職種作業
99-1-1空港グランドハンドリング●航空機地上支援
99-1-2航空貨物取扱
99-1-3客室清掃△
99-2-1ボイラーメンテナンス●△ボイラーメンテナンス

※1●の職種:技能実習評価試験に係る職種

※2△の職種:第2号技能実習(最大3年間)まで実習可能 (△のない職種・作業は3号まで可能)

※3職種特有の要件の記載がない職種についても、審査基準に必ず目を通し、要件を満たせることを確認してください。

特定技能への移行が可能な職種

 現在、以下の分野において特定技能での受入れが可能です。

【介護分野】 【ビルクリーニング分野】 【工業製品製造業】 【建設分野】 【造船・舶用工業分野】 【自動車整備分野】 【航空分野】 【宿泊分野】 【自動車運送業】 【鉄道分野】 【農業分野】 【漁業分野】 【飲食料品製造業分野】 【外食業分野】 【林業分野】 【木材産業分野】

 特定技能として働くには技能試験と日本語試験へ合格する必要があります。
ただし、特定技能で従事する業務と技能実習2号で行っている職種・作業に関連性が認められる場合や技能実習2号を良好に修了(実習計画に従って2年10か月以上修了)している場合はそれぞれ技能試験、日本語試験が免除されます。

1号実習のみで受入れ可能な職種

 上記の移行対象職種・作業に該当しなくても、同一作業の反復のみで修得できるものでなく、また、制度の目的である開発途上地域等への技能移転や経済発展に寄与する技能であれば、技能実習1号の在留資格にて1年以内の技能実習が認められる場合があります。技能実習1号のみ認められる技能は、移行対象職種とは異なるため、審査基準にあたる資料や職種の一覧はありません。

 なお、技能実習1号のみ認められる技能の修得等をさせる場合は、写真付きの工程表(フローチャート)の提出が義務づけられているほか、移行対象職種・作業の場合と同じく、安全衛生にかかる業務についても、同様に行う必要があります。また、この場合、基礎級への合格を目標としなければならないわけではなく、修得をさせる技能等を要する具体的な業務ができるようになること及び当該技能等に関する知識の修得を内容とするものであって、かつ技能実習の期間に照らし適切な目標を定めることも可能です。

まとめ

 技能実習生の受け入れが可能な職種は年々増えております。現時点で対象でない場合でも、今後職種が追加されるかもしれません。

 技能実習生の受け入れ可能な職種に該当しているか不安な方、外国人技能実習生の受け入れでお悩みの方は、お気軽にアジアアグリ協同組合九州支部へお問い合わせください。