技能実習の生活指導員とは

 外国人技能実習生の生活指導を担当する人のことをいいます。
技能実習を行わせる体制に関する要件として、技能実習責任者、技能実習指導員とともに、生活指導員を選任することが主務省令で定められています。
(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則[技能実習法施行規則]第12条第1項第3号)。

 技能実習生は初めて日本に来る人がほとんどで、日本語も流暢に話すことはできません。母国とは全く異なる環境下に置かれることになるため、不安も大きいです。そのような不安を少しでも和らげ、日本の生活・職場に早く馴染むことができるようにするのが生活指導員の役割となります。

 不安を抱えたままの技能実習生が起こすトラブルとして懸念されるのが、失踪です。
生活指導員の役割としては、外国人技能実習生の日常生活における管理・指導や、技能実習生の相談にのり、生活状況の把握をし、技能実習生の相談にのるなどして、失踪などの問題の発生を未然に防止する点にあります。したがって、技能実習生に親身になって、様々な相談ができる生活指導員の存在というものが、非常に重要になってきます。

技能実習の生活指導員になるための要件

 申請者又はその常勤の役員若しくは職員のうち、技能実習を行わせる事業所に所属する者
※生活指導員は上記の条件を満たしていれば選任することができ、特に資格の取得などは必要ありません。また、生活指導員は各事業所ごとに1人以上いれば問題ありません。
(技能実習法施行規則12条1項3号)
※技能実習責任者、技能実習指導員のそれぞれの要件を満たしていれば兼務することも可能です。

技能実習の生活指導員になれない人

  1. 欠格事由に該当する者禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終えた日から5年を経過していない者)
  2. 過去5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しい不当な行為をした者
  3. 未成年者
    (技能実習法施行規則第12条第1項第2号、同項第3号)

技能実習の生活指導員が管理する事項(役割)

日常生活のサポート

 外国人実習生が日本での生活において、生活必需品の購入や家庭料理、公共交通機関の利用方法など、日本独自の文化や習慣について理解するためのサポートを行います。

健康管理のサポート

 健康状態については実習実施者が管理することになりますが、生活指導員は健康診断の受診や医療機関の利用方法、必要に応じたサポートします。

仕事上のトラブルの解決

 外国人実習生が仕事でのトラブルに遭遇した場合、相談やアドバイスを行い、解決のためのサポートを行います。

人権教育の実施

 外国人実習生に対して、人権に関する教育を実施し、差別やいじめ、パワーハラスメントなどの防止・対策を行います。

実習生同士の交流の促進

 外国人実習生同士の交流の機会を作り、日本文化や言語について理解を深めるためのイベントや活動を企画・実施します。

 以上のように生活指導員は、外国人実習生が快適に過ごせるように、あらゆる面でのサポートを行います。また、実習生との信頼関係を築き、問題が発生した際には早期に対処し、解決に導くことが重要な役割となります。
生活指導員は、技能実習生の生活指導を行うに当たって補助者を付けることが可能です。技能実習生の人数が多くて生活指導員だけでは対応が難しい場合、技能実習生と年齢が近い人や同性が相談に乗った方が良い場合など、状況に合わせて補助者を付け、柔軟に対応しましょう。

技能実習の生活指導員講習について

 技能実習生を受け入れて技能実習を行わせている方又は行わせようとする方により、生活指導員に選任されている方(選任予定の者も含む。)は受講することが可能です。
養成講習の受講は義務ではありませんが、3年ごとに養成講習を受講させることが、優良な実習実施者と判断する要件の1つとなっており、受講が推奨されています。
生活指導員講習を受講すると、技能実習生の生活をサポートするための知識を得られるだけでなく、優良な実習実施者の認定を受けやすくなるというメリットもありますので、一度受講を検討してみてはいかがでしょうか。
講習を受講して合格すると「受講証明書」が発行され、優良要件の適合性の証しとなります。加点を得るために必要になるので、大切に保管しておきましょう。

※ただ受講するだけでは加点対象にならないので、注意してください。

技能実習の生活指導員講習の内容

60分講義① 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律について労働関係法令
60分講義② 技能実習生との向き合い方について
60分講義③ 労働基準法及び関係労働法令について
60分講義④ 労働災害防止・労働災害時対応について
30分理解度テストの実施及び採点
講習時間:4.5時間

技能実習の生活指導員講習の理解度テストの難易度

 最後に10分間の理解度テストを行い、70点以上を取れれば、合格となり、受講証明書が交付されます。

技能実習の生活指導員講習はオンラインでも受講可能

 外国人技能実習制度関係者養成講習についても、オンラインで受講可能で、常時良好にインターネットに接続でき、講習開催者が指定する条件が整っていれば全国どこからでも受講が可能です。

まとめ

  • 生活指導員と技能実習生の日常生活における管理・指導をする人
  • 生活指導員は技能実習生の相談に乗りサポートをするなどして失踪やトラブルの発生を事前に防ぐ重要な役割がある
  • 生活指導員になる要件(申請者又は、常勤の役員・職員、技能実習を行う事業所に所属する者)
  • 生活指導員になるのに特別な資格は必要ない
  • 生活指導員講習は義務ではないが、受講すると優良な実習実施者の評価点に加算されるメリットがある