外国人を雇用するためにはどのような制度があるのでしょうか?

 この記事では、外国人を雇用するための制度である「外国人技能実習制度」について分かりやすく解説いたします。

外国人技能実習制度の目的

 外国人技能実習制度は、日本で培った技能や知識を開発途上地域に移転し、その地域の経済発展に貢献することを主な目的としています。 

 これは、国際協力の一環として、人づくりを通じて地域社会に貢献する取り組みの一部です。

 制度が始まって以降、すでに多くの企業が活用し、数十万人の実習生が現在日本に在留していますが、本制度はあくまで技能や知識の移転を目的とした実習であり、労働力需給の調整手段として使用してはならないのも本制度の特徴です。

 ただし、日本で働きたいと思う外国人の若者が多いことも事実であり、技能実習生を受け入れることで雇用が安定化することも期待できます。

技能実習制度の仕組み

外国人技能実習制度は、技能実習生となる外国人が、日本の企業等で技能を学び、実践的な経験を積むことを可能にする制度です。


 受け入れ可能職種に該当する企業の、ほどんどは、技能実習の監理事業許可を持っている組合と契約を行い、組合が協定を結ぶ海外の送り出し機関から人材を紹介していただきます。

 人選後技能実習生と企業は直接雇用契約を結び、技能実習機構・入国管理局等の手続きを経て実習が開始されます。

 技能実習を一定の条件で良好に終了すると、技能実習から特定技能へ移行することができ、引き続き日本で働くことが可能になります。

 移行の条件は以下の通りです。

  • 技能実習2号を良好に修了
  • 技能実習での職種/作業内容と、特定技能1号の職種が一致

技能実習の対象となる職種と作業

 技能実習は様々な職種で提供されています。建設、食品製造、繊維、機械金属、農業、漁業など、多岐にわたり、88職種161作業がございます(2024年現在)。これらの職種は毎年追加をされており、また具体的な作業内容に合わせて技能実習が行われ、より実践的なスキルの習得が期待されています。

技能実習生の受け入れ枠

 技能実習生の受け入れは、職種ごとに定められた人数枠が存在します。 この人数枠は、バランスよく技能を学ぶ機会を提供するために設けられており、実習先となる企業の常勤職員数によって異なります。例えば常勤職員数が3名以上30名以下の企業であれば、1年目となる技能実習1号で受け入れできる上限は3名となります(介護職種を除く)。

受入れ企業の常勤職員数1年間で受入れ可能な技能実習生の人数
301人以上常勤職員の20分の1
201人以上300人以下15人以内
101人以上200人以下10人以内
51人以上100人以下6人以内
41人以上50人以下5人以内
31人以上40人以下4人以内
30人以下3人以内

 ただし、こちらはあくまでも上限の数となります。無理なく管理できる人数の受け入れを行うようにしましょう。

外国人技能実習生を受け入れるメリット

実習生・派遣企業のメリット

  • 日本の高い技術を学ぶことができる
  • 帰国後、日本企業とつながることができる
  • 事業活動の改善、生産性を向上させることができる

受け入れ企業のメリット

  • 社内の活性化、社員のスキルアップ
  • 経営のグローバル化のきっかけになる
  • 生産性の向上への貢献につながる
  • 技能実習生を軸とした海外展開につながる

外国人技能実習制度の受け入れに必要な準備

外国人技能実習生を受け入れるためには、以下の条件をクリアする必要があります。

  • 技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員の配置
  • 技能実習日誌の作成
  • 雇用条件、社会保険・労働保険
  • 生活を送る宿舎の用意
  • 設備環境
  • 給与は最低賃金以上

技能実習指導員の配置

技能実習生の技能向上ならびに円滑な技能習得のために、技能実習指導員(5年以上の職務経験がある常勤職員)を配置し、技能実習計画に基づいて技能実習を行う必要があります。

生活指導員の配置

技能実習生は慣れない海外でも生活に不安を感じています。その不安を少しでも緩和させるために生活指導員を配置し、日本の社会ルールや習慣などを教えたり、技能実習生のメンタルケアを含めたサーポートをして頂ける生活指導員の配置をお願いしています。

技能実習日誌の作成

技能実習生は日本での実習期間中、技能習得に関して「技能実習日誌」に記録することが義務づけられています。

雇用条件および社会保険・労働保険

外国人技能実習生は日本人労働者と同等の労働条件であり、労働基準法を遵守する必要があります。社会保険や労働保険など日本人労働者と全く同様の加入義務があります。

技能実習生の宿舎

技能実習生の宿舎の宿舎は受け入れ企業で確保する必要があります。企業の社員寮を宿舎と利用して構いません。社員寮がない場合は民間の賃貸住宅を受け入れ企業でご準備いただく必要があります。

  企業が外国人技能実習生を受け入れるには、制度の目的や仕組みを理解し、自社の職種が制度に該当するかの確認が不可欠です。
 外国人を受け入れる体制の確立が必要となった場合には、事前に監理組合に相談をされることをおすすめいたします。

まとめ

 外国人技能実習制度は、国際協力の一環として、技能実習生が日本で技術を学び、経験を積むことで、彼らの母国や地域社会の発展に寄与します。

 企業は制度を理解し、受け入れに際しては合法性と適切な労働環境の整備が求められます。

 外国人技能実習生の受け入れでお悩みの方は、お気軽にアジアアグリ協同組合九州支部へお問い合わせください。